某月某日
 
その日もいつものように家を出たy氏。通勤時間はおよそ1時間半。電車に乗っている時間だけで考えれば一時間もかからないのだろうが、駅に出るまでに時間がかかる。彼が住んでいるところは、最寄の駅までバイクで20分以上もかかる陸の孤島。そこに住んでいる理由は単純に家賃が安いから、それだけ。

駅までの道のりは朝のラッシュとあいまって大渋滞。しかし、そこは機動力に優れた原付バイク車の隙間をすり抜けて、悠々と駅に向かう。途中ぎりぎりまで詰め込んだバスを何台もパスし、こいつらよりも早く駅に着くことに優越感すら感じ、鼻で笑う余裕すらあった。

その日はいつにもまして快調であった。信号にも引っかからず、ノンストップで走り続ける。停留所で停車するバスにも遭遇せず、スピードを緩める必要すらなく、このままいけばいつもより速い電車に乗れそうであった。

と、その時であった。ノンストップで走り続けるy氏の右足に鈍い衝撃が走った。何かがぶつかったような感触。40kくらいは出していたであろうy氏は驚いた。何が起こったのかわからなかった。衝撃は痛みというよりも、重いものを急にぶつけられた感じ。

何か小動物でも撥ねたか、y氏は直感的にそう思った。それほどの衝撃を感じた。
彼は視線を自分の右足にうつした。そして彼は知った。


右足に鳩の糞がベッタリとこびりついているのを。


飛んでいる鳩が糞をしたタイミングが、バイクで走っている彼の右足が通り過ぎるその瞬間と偶然にも一致したのであった。


つーかさ、どんだけ運がわるいんだっつーのよ。会社でその話すりゃ全員に爆笑されるし、お前ついてねーなって、わかっとるちゅーねん。

それにしてもあのスピードで糞爆弾くらうとびっくりするほどの衝撃がありますわな。正直、本当に何が起こったのか分からなかったし。鳥かなんかがぶつかってきたのかって本当に思ったくらい。しかも、上空からだったせいで、スラックスの脛の部分にものすごく広い範囲に弾痕が。やってられっかい。

皆さんもこういった事態にはお気をつけを。多分ねーだろけど。

あ、ひとつ情報を。
鳩の糞水洗いしてもきれいに落ちませんから。粘着質なやつが繊維の中にまで入り込んで、一見落ちたつもりでも帰りには真っ白な染みになりますので、ちゃんとクリーニングしたほうがよろしいですよ。えぇ、無駄な知識ですが。